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ティルワーティラカリ〜ケーララの盆踊り

ケーララのフォークダンス、という括りで語るなら、
忘れてはならないのがティルワーティラカリ
(またの呼び名を、カイコッティカリ「手を叩く遊戯」)でしょう。

女性による、いわば盆踊りのような輪舞で、
かつてはどの村でも夜通し踊られたといいます。

ティルワーティラカリの由来

ティルワーティラというのは星の名前で、
マラヤーラム暦では毎月、その名を冠した日があります。
この踊りはその中でも一年に一回、ダヌの月(12~1月)の
ティルワーティラの日に行われたもので、
元々はシヴァ神とパールワティー女神の夫婦の和合を祭るものだそうです。

ラージャー・ラヴィ・ヴァルマによるシヴァとパールワティー…このあまりにも重要な画家の事もいずれ。

先に補足をしておくと、
シヴァとパールワティーと言えば、土着の神と融合・同一視されるナンバー・ワン
の汎ヒンドゥーの神々である、と言っても過言では無いと思います。

「厳しく強い父」的な存在と
「激しく、また優しくもある母」的な存在の代表格であり、
象徴的な存在であると言えます。
ティルワーティラカリのような土俗的な踊りにまつわる話は、
それを踏まえて聞くぐらいが、ちょうど良いかもしれません。

シヴァとパールワティーの祭りでは、
パールワティー女神のシヴァ神への献身にちなんで、
妻が夫の身を案じる、あるいは未婚女性が良い縁を願う、
などの意味づけがされることが多いものです。

シヴァ・ラートリ(シヴァ神の夜)もそうだし、
ポンガーラ祭の祭神になったとされる女性カンナギも、
夫への貞節と激しい献身という性質から、
パールワティーの化身だと位置づけられるようになったものと思われます。
(ポンガーラ祭や神話については、いずれ別項を設けて紹介します)。

シヴァ神:最初のヨーギー、女神の夫

南インドの祟る女神〜テイヤムとポンガーラ

ティルワーティラカリも、夫の安全や未来の夫との良縁を願い、踊られていたと言います。

現在では、実際にその日に踊られるよりも、
オーナムやポンガーラなどの別の祭事の際に踊られたり、
ユース・フェスティバルなどの学生競技会の中で踊られることの方が多く、
本来の意味づけは薄れ、単に「フォークダンス」と捉えられるようになっているようです。(参照

ティルワーティラカリの伝統

女性達が身に纏っているのは、ケーララの伝統的な衣装である
白地に金のボーダーのセットゥ・ムンドゥ。
セットゥムンドゥはいわゆる2ピース・サリーで、
身体の上下それぞれに布を巻く形です。

円の中心に置かれるのは、豊穣の象徴である稲穂、
あるいは、多くの場合は、オイルランプ。
ニルマラ・パニッカルは、その起源を古の昔、
原始の人々が火を囲んで踊った事に求めます。

彼女は幼い頃、村の尊敬される男性の先生(アーシャーン)から
ティルワーティラカリを学んだそうです。
彼らはけして人前で踊る事は無かったけれども、
ティルワーティラカリの師として尊敬されていて、
乞われて良家の子女に教えていました。

ティルワーティラの夜はまた、女性達が夜中に出歩いて、
村の沐浴池やお祭、儀式に行ける数少ない機会でした。
夜通し起きていなければいけないこの夜、
皆で共に踊るこの踊りが、一晩中、彼女達を鼓舞したのです。

現代のティルワーティラカリ

ユース・フェスティバルなどの学生コンクールが、結果的に
この文化を振興させ、守っていく場になっているという側面もあります(参照)。
若者たちが伝統に親しみを感じる機会になるというのは、
たとえば私が、花笠音頭やソーラン節と聞くと、
特に意味もなく「おっ」と嬉しくなってしまうのにも通じる事でしょう。

しかし一方で、ケーララにおけるこうしたコンペティションの熾烈さは、
社会問題にもなっています。
教師や両親、親戚その他を巻き込んで、有り体に言ってしまえば、えげつないと聞きます。

ここでの成績が、その後の学歴や職歴にも影響を与える事もあるそうです。
観光ショーと化す一部のカタカリをどう捉えるのかと同じで、
この問題に関する議論は尽きそうにありません。

ティルワーティラカリは、東京のアビナヤラボで有志を募って踊られています。
中心になるのは、上でもご紹介したニルマラ先生の私塾で学んだ方々。
私も歌で参加しています。
ご興味あればぜひアビナヤラボまでお問い合わせ下さいね。

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