10月23日(日)生演奏で民俗舞踊「ラージャスターンとブルガリア」

自由への歌舞い

歌わずに歌うこと
舞わずに舞うこと

誰の真似でもなく
けれどこの身には
たくさんの存在が息づいている

そこには圧倒的な自由がある

そこに至るために
私はどれだけ内に潜り
そしてどれだけ誰かの真似を
繰り返し、交互に、
繰り返し続けるのだろう

バウルは自分の舞を見つけないといけない、
と師匠は言いました。
他人を真似てできるものじゃない。

基本にできるような足捌きはあるにはありますが
歌舞うときにはすべて忘れないといけない

元々武道や武術をしていたこともあって
インド舞踊的な曲線の動きは
あなたの身体には合わないから

だから日本で舞を学んできなさい、
と言われて
いくつかの日本の舞や
身体の伝統を学ぶことになりました。

かつての私は、
踊ることに憧れながらも、
全くできなかったというか
どうしたらいいのか
サッパリ分かりませんでしたが

舞は、意外と早くに
私のところにやって来ました。
歌舞自体が一応でもできるようになるには
さほどの時間はかからなかった、
と言って良いと思います。

唄いが、私にとっての課題であって、
発見して、上達して、喜びがあって、
でもそのたびに落胆する行ないでした。

なぜ歌うことを求めたのか、
今となっては覚えていません。
ただその形に、
言葉の力の可能性を見たのだろうと思います。

かつて言葉がままならなかった私は
言葉への憧れと、
その本来持つ力への期待を
今に至るまで強く持っています。

生まれながらに歌い方を知っている
としか表現できないような方もいらっしゃいますが
私はそうではありませんでした。

声は掠れ、あるいは途切れ、
それはバウルのうたを歌っていると
一層顕著に表れました。

Photo by Yamato Tanaka

……思い返してみると、
日本語の歌をひとり歌っているぶんには
充分ごまかせる、気づきもしない程度だった
声の引っ掛かりが
どうしてかバウルのうたいでは
無様なほどに露呈しました。

でもそうでなかったら、
ここまで丁寧に、途切れることなく
身体性に取り組むことは無かっただろうから
たぶんそこも含めての
私の役割なのでしょう。

あるとき、師匠に
「歌うようになった」と
言われたときのことは、忘れません。
それまでは歌っていなかった。
今は歌っている。
そう言われたときの、
嬉しさと悔しさの入り混じった気持ち。

歌えるようになっていくことと、
私が自分自身を見出していくこと。
身体の奥深くに潜っていくこと。
すべてが並行して進みました。

何年もかかって、
今も続いているプロセスですが
それゆえに育つしかなかった
深い確信もあります。

このプロセスがあるからこそ、
私の確信は育つしかない。

まずはベンガル語のバウルのうたが
まともに歌えるようになって

そうしたらいつか、
日本語でバウルを歌えるようになりたい
と思っていましたが、

その日は急に訪れました。

ある日、私のうたが降ってきました。

自分のうたができる、歌う、ということ

ベンガル語のうたが
まともに歌えているとはまだ到底言えない、
どころか、
発声が以前よりも分かってきたことで

そしてベンガル語自体が
前よりも分かってきたことで

むしろバウルのうたを失っているような
砂が指から滑り落ちていくような感覚を
どこか覚えているときでした。

そのうたがこちらです。
これは、初めて自分のうたを
人前で歌ったときの記録です。

一曲できると、
その後の2ヶ月ほどで
立て続けに10曲ほどできました。
(すべてこちらでYoutubeに上げています)

それから半年ぐらい経って、
ベンガル語のバウルのうたと
やっと出会え直せた、と
感じられるようになったのは
「歌わずに歌う」の片鱗が
見えてきたのと同時でした。

そもそもバウルは、
歌を「歌う」とは、元々は
言ってこなかった人々です。
歌を「言う」と言います。

その意味は、
熟練のバウルの歌声を聞いたら
納得するしかないものです。

でも、聴いて分かる、見て分かる
のと、実際にできるのは違う。

正直、私は
インドでは師匠の箱入りなので
すっかり耳ばかり肥えてしまって
観察したり他人に助言をする方が、
自分でやるよりもできるのではないか
と思うことすらあります。

今も、私は私の歌舞いを
歌わずに歌い、舞わずに舞うことを
日々追求しています。

未熟ななりに確信しているのは、
歌や舞の先には、自由がある
ということです。

不自然に苦しいのであれば、何かがおかしい。
特に舞においては
実感としてこれを確信しているし
歌いでも、少しずつ
この領域に触れられるように
なってきている、気がしています。

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