仏伝「ナロク」12【終】
カーシー(ヴァーラーナシー)では、 ガンジス川が剣のように 曲がりながら流れています。 また、リシパッタナの下では ヴァルナー川の岸辺が、 山のように盛り上がっています。 その上のすべての 大きな洞穴の中には、 たくさん…
カーシー(ヴァーラーナシー)では、 ガンジス川が剣のように 曲がりながら流れています。 また、リシパッタナの下では ヴァルナー川の岸辺が、 山のように盛り上がっています。 その上のすべての 大きな洞穴の中には、 たくさん…
石の祭壇のクシの敷物の上に座り、 シッダールタはこの日、 誓いを立てました。 この肉体がもとうともつまいと、 苦しみの終わりを見つける、 見つけると言ったら見つける—— 満願しなければ、 目覚めることができなければ、 決…
プンナーを家の玄関まで送り届けて降ろすと、ショワスティは行ってしまいました。 その時スジャーターは、仔牛を牛小屋に繋いで、息子を寝かせ、翌朝のお祈り≪プージャー≫のためのお皿を集めて用意しているところでした。 プンナーが…
彼らの信じるような修行者であれば、真夏に四方に火を焚いて、真冬に一晩中水に浸るでしょう—— またある時は両腕を掲げ、両の手を空に向け、またある時は足を木の枝に引っかけて、頭を下にしていなければならないのです…
王も民人も、子どもも大人も——あらゆる人の心の望みを満たしながら、シッダールタがその日、ラージャゲーハの街の家から家へ、道から道へとしたようには、このように托鉢をして受け取る乞食も、このように差し出す人々も、また現れるこ…
シッダールタは毎日北の冷たい靄の中、 真っ白の雪の中、立って考えました—— 靄の網をすり抜けて、 光は入ってこないのだろうか? 雪が溶けて花が咲き、大地が様々な色で満ち溢れて、再び大変なよろこびは見られないだろうか? …
またある日、シッダールタの 心の戦車——黄金の馬車は やさしい風に旗をなびかせて カピラヴァーストゥの南の門を通り、 ゆっくりと進んでいきました。 庭園の風のかぐわしさ、 白檀の清涼さが身に触れれば、 全ての熱が鎮まりま…
息子がやがて 出家してしまうかもしれない と言う恐れから、 シュッドーダナ王は 黄金の夢を用意しました。 笑い、楽しみ、音楽、 あらゆる喜びのまやかしを織り上げて、 シッダールタを 縛り付けようとしたのです—— 黄金の籠…
聖者の手を取ったナロクが 道に出て立っていると、 お母さんが 目から溢れる涙を 衣の端で拭いながら、 聖者に言いました。 「私にはナロクしかいないんです。 どうかつれて行かないでください」 聖者は言いました。 「悲しみな…
お母さんはナロクの手を掴むと、 引っ張って歩き出しました。 ナロクは地面に張り付くように 抵抗して言いました。 「離してよ、母さん! この後どうなったか見なきゃ。 いいから離してよ。 一度でいいから、 離してってば!」 …