ラージャー・ラヴィ・ヴァルマは
現代インドの、
特にヒンドゥー教に関わる世界に
絶大な影響を残した画家です。
今、私たちが
「ヒンドゥー教の神様の絵」
として想像する画風…
リアリティのある、
西洋絵画風の絵は
ラージャー・ラヴィ・ヴァルマの
確立した画風に端を発し
彼の名を知らずとも、
おそらくインドに関わる
9割9分の人は、
彼の絵を目にしています。
有名なサラスワティー図。
画像ソース:ウィキ
準王族の生まれ
ラージャー・ラヴィ・ヴァルマは
1848年、南インドのケーララ州の
貴族の家に生まれました。
準王族…と言ってよいのか、
トラバンコー王家に
婿入りする人材を輩出してきた
家系の出身でした。
(※トラバンコー王家は母系)
ケーララ王家は
文化庇護の伝統があり、
多くの名高い文化人を輩出しています。
王でありながら作曲家でもあった
スワーティ・ティルナールを筆頭に、
ケーララの映画黄金期の
劇中歌の詩の多くを手がけた
大詩人ワヤラールも
本人は社会派な詩人となり
「宗教は人間が作ったもの」
などの作品を作りますが
王族傍系の出身……だと思っていたのですが
今調べると、そういう記述は
出てきませんでした…が、
名前からして、おそらくそうだと思います。
画家として
画家として王家の庇護を受けた
ラヴィ・ヴァルマは
水彩画・油彩の教育を受けます。
西洋画の技法を使いながら
インド人の生活だけでなく
ヒンドゥー教の神話に基づいた
モチーフを描き、
ウィーンやシカゴの
絵画展で高い評価を受けました。
この頃には印刷技術の発展があり
自らおこしたリソグラフの印刷会社により
彼の描いたヒンドゥーの神々のイメージは
インド全体に広まりました。
インドでの神様絵は、
単なる鑑賞の対象としてだけでなく
礼拝の対象としての需要も持ちます。
マハーバーラタより、ダマヤンティー姫
画像ソース:ウィキ
1906年に亡くなられている事もあり
ラヴィ・ヴァルマの絵を
紹介しているサイトは
たくさんあるのですが
たとえばこのサイトなど、
大量に見られます。
人気と評価
彼の絵は、いわゆる
「カレンダー・アート」
と呼ばれる神様絵の原点であり
インドの至る所で見られます。
ラージャー・ラヴィ・ヴァルマの功績には
そのあまりの普及ゆえに
実のところ批判的な声も多いのですが
あまりにも西洋化されたイメージだとか
あとは、汎インド的な
国家的ヒンドゥー教イメージの旗印と
なった事などもあり……。
一方で、これは
ルネッサンスを経た西洋画に
学んでいるからには
当然と言えば当然なのですが
神々に、親しみやすい
人間らしい姿を与えた
事もおそらく確かであり
印刷技術による
手にしやすさと共に
その親しみやすさによって
人気を得続けている、
とも言えるかもしれません。
自画像
画像ソース:ウィキ
ラヴィ・ヴァルマの影響力は
広範に渡り、
とても語りきれませんし
把握できるものでもありませんが
「この絵のスタイルは
ラヴィ・ヴァルマなのか」
と知っているだけでも
色々と見えてくる事が
あるかと思います。
映画
彼を題材とした映画もあります。
(私は未見です)
ヒンディー映画だとRang Rasiya (2014)
マラヤーラム(ケーララ)映画だと
Makaramanju (2010)
検索するとテルグ語映画が
出てくるのですが、
おそらくこのケーララ映画の
吹き替え版だと思われます。
参照:(Last Retrieved 20th December 2020)
https://indianexpress.com/article/explained/raja-ravi-varma-the-painter-who-helped-indians-bring-their-gods-home-6384125/
http://www.catchnews.com/culture-news/raja-ravi-varma-the-painter-king-who-gave-gods-goddesses-a-human-face-1466503154.html
https://www.thehindu.com/features/metroplus/gods-for-the-commoners/article8198458.ece
https://en.wikipedia.org/wiki/Raja_Ravi_Varma
https://minpaku.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=334&item_no=1&attribute_id=18&file_no=1
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