公用語だけで15あり、実際の言語数はその数百倍に上るとも言われます。
同じ言語の話者の中でも、様々に異なる文化があります。
だからこそ、このサイトでご紹介していくように様々な芸能が花開いています。
ここでは、行政単位・地理単位である「州」について
少し語ってみます。
インドの「州」について語るのは、いささかトリッキーです。
それ自体は、境界線あるある、かもしれません。
とはいえ、インドでは概ね言語によって州が決まっているので、
その点では、たとえばアフリカの直線の国境のような
あからさまな不自然さはありません。
それでも、2014年にアーンドラ・プラデーシュ州から分かれたテランガーナ州のように、
一筋縄ではいかない(インドの人に聞いても「よく分からない」と言われたりする)世界です。
アーンドラ・プラデーシュ州とテランガーナ州はどちらもテルグ語圏ですが、
テランガーナは歴史的にハイデラバードを中心とした一つの国でした…
という事で歴史的・政治的に州として分離独立する運動が展開されていて、
ついに2014年に新たな州として認められました。
ハイデラバードは、アーンドラ・プラデーシュ州の州都でもあります。
10年以内に変わるという条件で、今も2つの州の州都として機能しています。
私も当時インドにいて、「え、そんな事があるの???」と驚いた事を覚えています。
しかも、周囲のインド人に聞いてみても、
「いや〜よく分からないんだよね」などと言われてしまいます。
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なぜそんな話をするのかと言いますと、
「ナニナニ州」と私たちは簡単に言ってしまうのですが、
感覚としてはそれは「国」と変わらないようなところがあるからです。
特に日本では、廃藩置県も遠い昔。
更に、「州」という感覚がそもそも分かりにくいのです。
英語圏の、言語の違いが無いアメリカやオーストラリアにおいてさえ、
州をまたげば政治や、様々なシステムが異なります。
その上インドでは、言語が州ごとに違い、民族の違いすらあります。
(一応言及しておくと、少数民族も各地にたくさんいます)
南インドには、タミル・ナードゥという州があります。
「ナードゥ」とはタミル語で「くに」「故郷」のこと。
ケーララの言葉、マラヤーラム語でも同じです。
北インドには「〇〇・プラデーシュ」という州がたくさんあります。
「デーシュ」が国の事。
「プラデーシュ」は語源としては色々な意味がありますが、ここでは「地域」ぐらいの意味でしょうか。
それでも、「国」を意味する「デーシュ」が要素として入っている事が分かりますね。
「スワデーシュ」で「自国」「独立運動」などの意味になります。
ひとくちにインドと言っても、地域によって違う言語・文化があり、
州が違えば国が違う、ぐらいの認識でいても良いかもしれません。
また、だからこそ、このサイトで紹介しているような、
色とりどりに多様な芸能も花開いています。
![](http://tenziku.com/wp-content/uploads/2019/09/7149AD7E-0680-43DD-92FE-D17C7AC73A3B-1024x768.jpeg)
それでも、インドの凄さ、また興味深いところは、
それだけ多様であるにも関わらず、インドとしてのまとまりを保っているところです。
それを可能にしている歴史的・文化的な繋がりは、計り知れないものがあります。
もちろん、北東部のナガランドのように、
独立運動が展開されているところもありますし、
カシミール問題もあります。
パキスタンやバングラデシュとの歴史的な対立・緊張関係もあります。
ただ、それを踏まえた上でも、
これだけ多様な文化・民族・言語を内包しながら今のレベルでまとまっている、
それ自体、インドという国の神秘であるようにも思えるのです。
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