🟡 3/29(金)『女たちの音づれの夕べ~パロミタ友美・佐藤二葉の二人会』 🟡

バターの好きないたずらっ子〜クリシュナ神1

インド神話を代表する神様のひとりである
クリシュナ神。
青い肌に黄色い腰布、
頭を飾る孔雀の羽根、
手に持った笛で知られる
色男にして覇者である王は
赤子の姿でも親しまれています。

赤子の姿のクリシュナを、
バーラ(少年)クリシュナ、
バーラ(少年)ゴーパーラ(牛飼い)
などと呼びます。

マトゥラー国に生まれた王子
クリシュナは
伯父の命を脅かすと
予言されていたため
伯父に殺されるところでしたが
両親によりひそかに
ヴリンダーヴァナの
ナンダとヤショーダーの夫婦に預けられ
牛飼いとして育ちました。

16世期のバーラ・クリシュナのブロンズ像

画像ソース:ウィキWalters Art Museum

天使のような幼子に
村じゅうの老若男女が
夢中になりました。

赤子の姿のクリシュナ神は
ハイハイをしている姿勢
あるいは右足の親指を
しゃぶっている姿勢で描かれ
親しまれています。

羅刹女プータナーの話

プータナーは、クリシュナの伯父に派遣された
羅刹女です。
プータナーが美しい若い女の姿をして
やって来た時、
牧童たちは女神が来たと
思いました。

なのでプータナーが
赤ん坊のクリシュナの元にやって来た時
養母のヤショーダーも
彼女のあまりの美しさに
愛しい赤子を
彼女の膝に預けました。

プータナーは
クリシュナにお乳を含ませました。
実はプータナーは
乳房に毒を塗り
赤子を殺そうとしていたのです。

しかしクリシュナは
そのお乳からプータナーの命を
どんどん吸い出していきました。
慌てたプータナーが止めようとしても
クリシュナはけして口を離しません。

17世期初頭、ラージャスターンで描かれたプータナー。

画像ソース:ウィキ

ついに羅刹の本性を見せたプータナーは
逃げ出しますが
それでもクリシュナは離さず
ついにはプータナーは
命を全く吸い出されてしまいました。

実はプータナーは
生まれる前に、
ヴィシュヌ神の
化身から祝福をいただくと
約束されていたのです。
クリシュナはヴィシュヌ神の化身でした。

プータナーの身体は
こうしてクリシュナの祝福を受け
燃やされる事で

浄化され、解脱をし
天国に行ったと言います。

動画はカラーマンダラム・クリシュネーンドゥ
によるナンギヤール・クートゥ
(ケーララの、女性によるソロ・マイム劇)の
「プータナー・モークシャ(プータナーの解放)」。
インド舞踊では人気のテーマのようで、
Poothana Mokshamで検索すると色々出てきます。

現存する唯一のサンスクリット劇・クーリヤッタム

下はヤクシャ・ガーナの
プータナー・モークシャ。
お忙しい方は、19分ぐらいまで飛ばして観ると、
分かりやすいかと思います。

バターが大好きないたずらっ子の話

子どものクリシュナは
大のバター好き。
多くの絵で
壺から手で直接
バターを掬い出し、
舐めとる姿が
描かれています。

物語も、家のバターを
舐め尽くして
養母ヤショーダーに
叱られるものから
「村じゅうの家のバターを
盗み出している」と
隣近所の女性から
ヤショーダーが
文句を言われるものまで、
様々。

他の男の子や、猿まで一緒に
倉に忍び込んで
バターを取り尽くした
というような話もあります。

この動画はマニプリ舞踊での
このエピソード。
ここでは、友人も呼んで
隠された壺さえ割ってまで
家じゅうのバターを舐め尽くしたクリシュナが
最後には養母ヤショーダーの足音に
逃げていく様子が
描かれています。

マニプリは、
北東部マニプールの舞踊で
民族的にはモンゴロイド系なので
踊り手の顔立ちも東アジア的です。
個人的に、とても好きな舞踊。

水浴びする女たちの衣を隠す話

この話は、私は少年期の話と
思い込んでいたのですが
もう少し大きくなった
青年期の話かもしれません。

が、私の印象のままに
ここで一緒に紹介します。

水浴びする牛飼い女達が
岸辺に置いておいた衣を
クリシュナは
全部取ってしまって、
木の上に持って行ってしまいます。

そして木の上から、
「一人一人、ここまで取りに来ないと
衣は渡さないよ」
と言うのです。

16世期半ばの絵。

画像ソース:ウィキ

このお話は、人によっては
受け入れがたいお話のようで
インターネットで検索すると
「なぜそんな事をしたのか?」
という質問が
いくつも見つかります。

そこで提供される答えは、
様々に利用されてしまいそうなので
ここでは敢えて言及しません。

朝にクリシュナを呼ぶうた

バウルの歌で、
朝にだけ歌ううたの中に
ゴシュト・ガーンと呼ばれるうたがあり
クリシュナを放牧地に誘ううたです。
たとえば、このような内容。

ちょっと出ておいで、クリシュナ
放牧の時間だよ
まだ母さんのお膝で寝ているの?
バララーマ兄さんが呼んでるよ

きみが僕らと来るならば
きみは森の王さまだ
小麦色の牛を放牧しないで
笛を吹いていていいよ
牛たちが法螺貝の音に耳を貸さない時に
いてくれたらいいんだ

(ニーラカーンタのうたより)

朝のうたで、あまり
公演などでは歌う機会がありませんが
この一群のうたが私は大好きです。
朝に私を見かける事があったら、
よければ尋ねてみて下さい。

牛飼い女たちとの恋の遊戯と、魅惑のラーダー〜クリシュナ神②

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