🟡 3/29(金)『女たちの音づれの夕べ~パロミタ友美・佐藤二葉の二人会』 🟡

ドタラ琴:バウルの楽器紹介④

二弦琴?

ドタラはおそらく、
原義としてはドータール「二弦
なのですが、
私の知る限りのドタラは
二弦ではありません
(二弦のドタラも、あるにはあるのだと思います)

大体、最低でも3本、
大抵は4本か5本
そのうち二本が複弦……
つまり、同じ音程に
調弦して、近く隣り合うように
なっています。

この複弦があるから
ドタラと呼ぶのだ、
という説も
聞いた事があります。

とは言え、例えば私のドタラには
複弦がありませんが、
それでもドタラと呼べます。


ロッコン・ダス・バウル
私の師匠パルバティ・バウルと共演する事も多い、私のドタラの先生でもあります。大体どんな楽器でも演奏できます。
ドタラの演奏と、力強い歌声で知られる、古い伝統を持つジョイデブ地区トモルトラ・アシュラムの養子にして後継者です。とてもリリカルなドタラ。

いろいろなドタラ

どうも、ドタラは
どちらかと言えば、
元々バングラデシュ(東ベンガル)側で
盛んだったようで
あちらの方が、色々
細かい呼び分け方があるようですが

(私の持っている
複弦が無くて4弦の楽器は
サロージュだ、と
言われた事があります)

私の学ぶ西ベンガル側では
ざっくりとした分類
に留まっているようです。

ドタラと一概に言っても、
地方や人によって
形や大きさに
バリエーションがあります。

もうほとんどサロード
(古典音楽の楽器)のように
共鳴弦をたくさん
取り付けてあるドタラもあります。

北ベンガル式?のドタラは……
素朴〜!という感じの見た目です。

ヘッドが、孔雀や
白鳥の頭の彫刻である事が多いですが
これも、絶対ではありません

ピックも、木だったり
山羊の角?だったり、色々です。

バウルの楽器は元々
行者がそれぞれ手作りしていたので
厳しい「決まり」がある訳では
ありません。

なので、ドタラの弦の数も
明確に決まりがあるものでは
ないようです。


モンシュール・ファキール
ドタラの名手として、そして高い歌唱力の名人として知られています。ラロン・ファキール直系の弟子筋であると共に、先祖はアフガニスタンから渡ってきたダルヴィーシュだったとお聞きしました。

ドタラの奏法

これは、私の観察から来る
多分〜の話なのですが、

ドタラの奏法の特徴は、
基音が第二弦(二番目に音の高い弦)
に設定され、
旋律の演奏には、主に
第一弦(最も音の高い弦)が
高く引っ張るようにして使われる
というところにあると思います。

これで通じるか分からないのですが、
何となく、普通だったらこの調弦
でもバウルはこの調弦という
感覚があるようです。

(とはいえ、私はサロードなど
古典の撥弦楽器を
学んだ事がある訳では無いので、
確実には言えません)

あ、弦は爪で押さえます
指の腹だとはっきりした音が出ません。
なので、いつも演奏していると
左手の爪がギザギザに削れていきます。

あと、右手首の
楽器を支えるところ。
三味線だとゴムや布で
保護するところが
何も無いので、そこも
アザっぽくなっている方を
見た事があります。

そもそも、ドタラの名手でも
ひょっとしたら、
「誰それに教わった」という
明確な体験を持っている方は
少ないのでは無いかな、
と想像します

最初の手ほどきは受けても
あとはほぼ独学……
という方が多いのでは無いでしょうか。

うたさえ知っていれば
あとはそれを弾きつつ
即興を入れていくだけ……かつ
本当にうたを歌えるなら
即興的な勘も育っているものだし……

そのせいかは分かりませんが、
人によってかなり
弾くスタイルが違います

ドタラと歌だけの演奏の動画、
というのが意外と
探すと少なくて

いわゆる合奏形式だと
埋もれてしまって、
ちょっと分かりにくいのですが
ちゃんと聴くと、
あ〜全然違う!という事が分かります。
(耳が慣れていないとそうでもないかも)

この記事で紹介している動画も、
私は全員の演奏を
間近でお聴きした事がありますが
全部違うスタイルだと言えると思います。


シャージャハン・ムンシ
これは映像が入っていないのですがドタラの音がちゃんと入ってるものがあまり見つからないので……合奏になると、どうしても掻き消されたり、あまり聞こえないもので。Shahjahan Munshiとか、Shahjahan Miaで検索するとたくさん出てきます。
バングラデシュの盲目のバウルです。蛇皮に、共鳴弦も付いたドタラで演奏されます。先生に付いて習ったのは1週間だけ。でもその1週間で学んだものから、自分は全てを学んできたのだ、とおっしゃっていたのが印象的でした。「人は私が目が見えないから、何も分からないだろうと思う。でも私は本当にたくさんの事ができるし、この耳でたくさんの事が見える。ほら、今誰かがスプーンを落とした」という言葉なども。あと、英語は簡単だけどタミル語は難しくて聞いてもよく分からない、という事もおっしゃっていました(多分タミル語は初めてお聞きになったのだと思いますが……といって、英語を喋れるというよりは、聞いていると何となく分かる、という事だったかと思います)。

ドゥギ小鼓:バウルの楽器紹介②

エクタラ【バウルの楽器紹介①】

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