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サンスクリット語とは

サンスクリット語とは

サンスクリット語という、古い言語があります。
この言葉について説明する時、「仏教の言葉」と言うのが、
取っ掛かりになるかもしれません。

お釈迦様の時代、サンスクリット語は、既に古い言葉でした。
偉い人や教養のある人が使う言葉でした。
ですからお釈迦様は、パーリ語、という当時の言葉で喋り、
古い経典はパーリ語で残されています。

サンスクリット語は、権威ある言葉であると同時に、
神秘の言葉でもありました。
サンスクリット語には特に強い言霊があると思われていました。
これは、今も同じです。

ですから、お釈迦様の入滅(亡くなられて)から数世紀経った頃に
サンスクリット語の経典が作られるようになりました。
このサンスクリット語の経典が、中国に伝わり、
中国語に翻訳され、日本にも入って来ました。

いわゆる、梵語です。
お墓の卒塔婆に書かれている呪文のような文字は
今では日本でしか使われていない、昔のサンスクリット文字です。
悉曇文字と言います。
映画や漫画で陰陽師などが唱えている真言も、
多くはサンスクリット語の音訳です。

インドでは、デーヴァナーガリー文字を使う事が一般的ですが、
各地方言語の文字で書き表される事も非常に多いです。

サンスクリット語の種類

サンスクリット語、と言っても、実は
種類がいくつかあります。
主に、二つの種類に分けられます。

聖典ヴェーダに使われるヴェーディック・サンスクリットと
時代の降った、ここ2千年ほどの作品に使われる古典サンスクリットです。

聖典ヴェーダは、伝説によれば
世界の誕生と共に発生した聖典群ですが
科学学問的には、数百〜数千年をかけて
口頭で伝承されながら
少しずつ増補、編纂されていったものだろうと言われています。

なので、最も古く重要なリグ・ヴェーダから
より新しいアタルヴァ・ヴェーダ、更にウパニシャッドになるにつれ
使用されるサンスクリット語も変化しています。

一部のプラーナ(古事記のような)などのように、
敢えてヴェーダ風の言葉が用いられている場合もありますが、
基本的にはヴェーダ聖典群に使われている言葉をヴェーディック・サンスクリットと呼び、
文法法則などが古典サンスクリット語とは多少、異なります。

また、有名な叙事詩、
マハーバーラタやラーマーヤナは
叙事詩サンスクリットと呼ばれる、
少し特殊な文法法則が使われていたり

文献の種類や時代によって、
少しずつ異なるスタイルがあります。

パーニニと古典サンスクリット語

紀元前 6世紀から4世紀頃、パーニニという聖者がおりました。
ある日バニヤン樹の根元で涼んでいた彼に天啓が降りました。
母音はア、アー、イ、イー…アとウが合わさってオーになり…
カ行は喉の方から音が発し…
パ行は両唇の合わさった振動によって音が出る……
音韻論を発見したのです。

…これは、私のサンスクリット語の先生であるマッコーマス・テイラー博士の語り方です。

実際には、パーニニはそれまでに積み重ねられ
伝えられて来たサンスクリット学の知識を、
体系としてまとめて打ち立てたのだと
(科学的には)考えられています。

パーニニ文法によって、サンスクリット語は
ある意味で、「保存」できるようになりました。

普通の、自然な言語であれば
時代と共に変化していってしまうところを
文法に従う事で、サンスクリット語はほぼそのままの形で
保存されるようになりました。

この文法をベースにして、その後のサンスクリット作品は書かれて(語られて)います。
これが古典サンスクリット語です。

ちなみに、日本語の「あいうえお」
五十音表も、
古典サンスクリットの音声学が
元になっています。

サンスクリット語は死語?

サンスクリット語は一般的に死語だと考えられていますが、
そうだとすると、ずいぶん元気な死語だと言わざるを得ません。

聖典の言葉だという事で、世界中で絶えず唱えられています。
よくヨーガで唱えられるマントラは、サンスクリット語です。

そうでなくても、サンスクリット語は
現代インドの言葉の語彙の多くを占めます

なので、サンスクリット語を学んでいない人でも
サンスクリット叙事詩の詠唱などを聞くと、
分からないなりに、言葉を繋ぎ合わせて想像で補って
物語を何となく理解してしまう、などという事が起きたりします。

現代のインド諸語、更に東南アジアにおけるサンスクリット語の位置付けは
東アジアにおける漢語と非常に近いものがあります。
たとえばベトナム語は現在、ラテン系アルファベットで読み書きされますが
ヨーロッパの植民地支配以前は長いこと漢字圏だったので、
ベトナムの方が漢字を学ぶと、「あ、あの言葉はこれか…」
という発見がたくさんあるそうです。

サンスクリット語が分かるので、
私はタイの空港の名前を見てだいたい意味が分かります。
日本人の名前が、漢字で意味を持たせられるように、
サンスクリット系の名前は、聞けば意味が分かります。
(たとえば、デヴィ夫人のデヴィは、女神を意味する「デーヴィー」だとか)

サンスクリット語は、ある時期までは
東南アジア〜南アジアにおける
リングア・フランカ(共通語)だったのです。

インドでは元々、バラモン(僧侶階級)の家では
サンスクリット語が教養として学ばれたり、使用される事がありましたが、
近年はナショナリズムの高揚もあり、
インドではサンスクリット語学習が奨励される傾向にあるそうです。

なんと、「サンスクリット語を喋る村」まであります

この動画は、サンスクリット語で日常的に喋る村、
カルナータカ州のマットゥル村を映しています。
私のサンスクリット語の先生の先生も
こういう系統のサンスクリット語を話されていました。

ですから、サンスクリット大学などでも
サンスクリット語で会話する環境があるようです。

***

18世紀末、法律家であり東洋学者でもあったウィリアム・ジョーンズが
サンスクリット語とラテン語、古典ギリシア語の共通性に気がつきました。

これが、インド・ヨーロッパ語族の発見、比較言語学、そして文化人類学の萌芽ともなります。

当時、植民地を治めるためにヨーロッパの法律家が現地の言葉や典籍を学ぶ事や
宣教師が現地の言葉や文化を学び記す事は
重要とされていました。
この事についても、いつか別でまとめてみたいと思います。

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