🟡 3/29(金)『女たちの音づれの夕べ~パロミタ友美・佐藤二葉の二人会』 🟡

火を吹き消さないという話

インドにいると、よく
オイルランプに火を灯します。

私はインドに行くまで
マッチもろくに使えませんでしたが
毎日の習慣となって、
今では日本でもマッチ箱は
切らせません。

そしてその火を、
口で吹き消す事はありません。

初めはそんな事も知らなくて、
周りにならって
手で扇いで消しながら
中々消えない時は、
口で吹き消したりしていました。

ある時それを見た人に
「違う、それはダメだ……
手で消すんだ」
と言われて、

「そういう決まりが
あるのか!」
とびっくりしました。

ちなみに、オイルランプなら
あおいで消えない時は
灯芯(ウィック)をオイルに
引いて浸してやると、
消えます。
当時はそんな事も
知りませんでした。

日本でも、線香は吹き消さない

それで、それは
インドだから
だと思っていたのですが
考えたら
日本でも、線香の火は
口では吹き消さないんですよね。
考えもしなかったのですが、
確かにそうなのです。

調べてみると、
仏壇のロウソクの火も
息では吹き消さないそうで、

なぜかと言うと、息は
悪を引き起こす
身口意の、口から出てきた
不浄なものとされるから、
とどこを見ても出てきます。

基本的な感覚は
おそらくインドも同じで
たぶん、仏教を通じて
インドからやってきた
感覚なのでしょう。

とはいえ、
たとえば焚き火とか、
台所の火を焚く時には
息を使ってはいけない
という事ではありません。

たぶん、
息で「消す」という事が
ダメなのです。

食事の炎

しかしプラーナというように
息吹、身体の中をはしる風は
神聖なものに通じるという
側面もあります。

炎は、
たとえば身体の中で
取り入れた食物を
燃やすのも、
身中の炎だと言われます。

よく知られた食前の祈りでは、

ブラフマン(梵=至上の存在)は
捧げる行いそのもの
ブラフマンは捧げられるバター
火神アグニであるブラフマンに
ブラフマンによって
捧げられる
ブラフマンこそが
ブラフマンの行いに
その身を浸す者によって
達せられるもの

Brahmārpañam Brahma Havir
BrahmāgnauBrahmañāhutaṃ,
Brahmaiva Tena Gantavyam
BrahmakarmāSamādhinah.
(Bhagavad Gita, Chapter IV, Verse 24)

私は消化の炎となり
身体を駆け抜けるいのちの
上に吹く風
下に吹く風と
ひとつになり
四種の食物を
調え消化する

AhamVaishvānaroBhutvā
PrāñināmḌehamāshritaha,
PrāñāpānaSamāyuktah
PachāmyannamChaturvidham.
(Bhagavad Gita, Chapter XV, Verse 14.)

パロミタ訳
(解釈はひとつでは無く
これはあくまで私なりの訳です)

と言います。

火はそのまま火の神
アグニでもあり
アグニは梵天でもあり
供犠ホーマ(護摩)においては
炎を通して、捧げ物を
天に捧げます。

同じ事が、この身体でも
起きているから、
行者は食事も
セーヴァ(奉仕)と呼び

上記のマントラ(お祈り)では、
食事をも捧げ物にするのだ
という事が宣誓されています。

とはいえそれはそれとして、
聖なる存在である炎を
人の呼吸で吹き消さない
というのは、
一種の態度の表明であり
それ自体が祈りの態度
…であるのかもしれません。

そして、もしかしたら
釈迦が人を「糞袋」
と言ったともいう
仏教では、余計に
息は不浄という
感覚が強いものかもしれません。

火を灯すこと

火を絶やさない事は、
インドの儀式において
とても大事な事です。

オイルは減っていきますから、
オイルの確認と補給も
大事な仕事です。

もちろん時と場合によるので
どうしても風が強すぎる時など
途中で諦める判断をする
事もありますが……。

私がケーララで
初めてお世話になったお家では
太陽が沈むと、
その代わりだと言って
ランプに火を
灯していました。

炎それ自体の持つ、
形容しがたい力は
おそらく、誰もが
何らかの形で、
体験した事のあるもの
かと思います。

火を点ける時
利用する時
ただ利用する対象として
ではなく
敬意をもって接する存在
として振る舞う

その事自体に、
祈りと、学びと、
よろこびが
あるのかもしれません。

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