偶像崇拝と呼ばれるもの
偶像(神像、仏像、イコン、アイドル)
というものへの
イメージは、千差万別でしょうが
日本語のこの「偶像」という言葉
そのものにして、既に
ネガティブなイメージがあります。
偶像崇拝、となると
より、悪いイメージが優勢でしょう。
アブラハム系の宗派(ユダヤ、キリスト、イスラーム教)
では、偶像崇拝は
偽りの神への信仰(等)として
忌避されています。
一方で、それこそ仏教で
初期には無かった仏像や仏画が
時を経て作られるようになっていったように
古い遺跡に様々な彫像が
様々な目的で残されているように
キリスト教などでも
偶像的なイメージから
全くの自由というわけではないように
(そして現代で
キャラクターやアイドルを
「拝む」「尊い」などの言葉で
熱狂的に愛でることさえ含めて)
どこか人類の根源的な
性質に関わるものであるようにも
思われます。
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偶像への態度
それでも、何か
偶像的なものに祈る
という行為に対して
どこか偽物じみた、
狂信じみた、子供騙しの
印象を受ける人も
おられるでしょう。
その警戒心を持っておくことは
始まりとしては、
そしてその先に分け入った後は尚更
大切なことだと、
私個人としては思います。
一度リミッターを外した時
盲目を選んでしまうことは
あまりにも簡単だからです。
それでも、インドは
偶像の国と呼んでも
差し支えないほど
神像に、神様絵、神様カレンダー…
等に溢れています。
仏像を愛する文化のある
日本人にとっては、比較的
受け入れやすいかもしれません。
(日本神話の神々の
統一されたイメージが
ついに定着していない事
を考えると、
興味深くもありますが
ここでは閑話休題)
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そしてインドの
目に見える「神様」たちは
あまりにも日常生活に
溶け込んでいて、
それをおかしく思う感性の方が
おかしい、というぐらいは
思わされるようです。
そこに、逆に
一種の懐かしさを感じる向きも
あるのかもしれません。
少なくとも私には、
そういうところがあったと思います。
インドでの「神様」
とはいえ、インドにおける
「神様」への感じ方も
それはもちろん、千差万別です。
ヒンドゥー教徒という
括りに入る人であっても
神様なんかいない、
あんなのどうでもいいし、
ただの迷信だよ、
というぐらいの人も
いらっしゃいますが
ここでは、そうではなくて
その存在に重きを置いてらっしゃる
人々の方にフォーカスして
話を進めます。
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街角や家のあちこちにおわす
神様に、人々が親しみを持つ様子は
日本人の感覚から見れば
たとえば、お人形遊びや
あるいは、仏壇の故人の写真
に、近いものがあるかもしれません。
あるいは、よく訪ねてくる
馴染んだ野生動物に接するような、
というと語弊がありそうですが…
あの感じを表す言葉は、
簡単には見つかりませんが
そうした慈しみのような親しみ
を、私は感じます。
もちろん、ご祈祷(プージャー)
をしたりだとか、
そういう事もあるのですが
一方で、ただ恐れかしこまる
だけの関係性ではなく
非常に親しみを持って接せられる存在で
映画などでは、
個人的な悩みを神様の絵姿に
話しかけたりとか、
そんな場面を見る事もあります。
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行者にとっての偶像
私自身の未熟な体験から語れば、
修行をする者にとっての
偶像は、あくまで
集注のための媒体であり
しかし同時に、
物質ではない存在の
顕現そのものでもある
両面があります。
なぜなら、
ただの物質だと思っている限り
そこに捧げられた行は
本物にはなり得ません。
しかしその物質だけを
ただ考えなしに本物だと
思ってしまうなら、
やはり行はただの物質止まり、
妄想止まりになってしまいます。
その両面を両立させるところに
行としての難しさと
理屈での説明のしきれなさと
そして、美しさがあるように
思います。
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