オディシャ州の、この
一度見たら忘れられない神様
ジャガンナート。
画像ソース:ウィキ
ジャガンナートは
「世界の王」を意味する
クリシュナ神の別名です。
ジャガンナート寺院のデーヴァダーシー
「神に仕える女」(いわゆる巫女)を
マハリ
と言います。
ジャガンナートの巫女マハリ
マハリはマハーン・ナーリー
「偉大なる/聖なる女性」
という言葉から来ている
と言われています。
マハリは、幼少時に
寺院に捧げられると、
ジャガンナート神と婚姻を結び
一生を神に捧げます。
12世紀以来、
日々の儀式の一環として
神に舞踊を捧げて来た
と言われています。
またマハリの舞踊は、
現在人気のある古典舞踊オリッシーの
原型の一つである、
とも言われています。
1947年の「デーヴァダーシー禁止令」の影響で
寺院にマハリを寄進する習慣は断絶し
最後のマハリだった
シャシマニ・デーヴィーは
2015年に
93歳で亡くなられました。
最後のマハリ
かつて本殿で毎日
ジャガンナートに舞踊を捧げていた
シャシマニは
晩年、寺院に住めなくなっても
身体が動かせなくなるまで
朝と晩に必ず
歌舞いを捧げていたそうです。
この動画には、
シャシマニの踊り、歌う様子が
記録されています。
シャシマニは一生を通して
ジャガンナート神の
敬虔な妻であり続け
それを誇りに思っていました。
早朝に起き、沐浴を済ませると
花で飾り立てられた
木のジャガンナート像の所に
とんで行き、
椰子の実、甘いお菓子やバナナの朝食を運ぶと
今度は舞踊を捧げる。
この生活を50歳近くまで
続けたそうです。
夜11時半には
眠りの用意をされたジャガンナートに
ヴィーナの旋律に乗せて
「ギータ・ゴーヴィンダ」の詩を
歌いながら、踊りました。
ギータ・ゴーヴィンダは
クリシュナ神と恋人ラーダーの
愛をうたった古い叙情詩です。
ジャガンナートを眠りにつけて、
シャシマニが本殿を去って初めて、
門番は扉を閉めて
鍵をかけたそうです。
この役目は、80歳を過ぎて
暴れ牛にかかとを踏まれて
足を痛め、
寺院まで歩いて行けなくなるまで
続けました。
ジャガンナート寺院
ところでジャガンナート寺院では
かつて、お祭りの際に
16の車輪が支えるお神輿の前に
信者たちが身を投げ出して
その車に轢かれる事で
来世での解脱をめざしました。
これはただの「振り」ではなく
信者たちは文字通り
血まみれになったそうです。
これを見た初期の西洋人は
震撼したらしく
英語のjuggernautという表現が
ジャガンナートの音を模して生まれ
「一度動き出したら止まらない怪物的な機械」
という意味で使われます。
ジャガンナート寺院は
クリシュナ信仰の重要な聖地で
15世期の聖者チャイタニャ以来、
ハレ・クリシュナの主要な
巡礼地でもあります。
マハリは伝統的に、
寺院に与えられた土地からの
収入がありましたが、
1955年に寺院の管轄が
オディシャの王家から州政府に移ると
土地は政府の物とされました。
シャシマニは
寺院からの小額の年金を受け取りながら
善意の信者家族に引き取られ
やっと生活していたと言います。
マハリ舞踊
シャシマニには養子が2人います。
一人は息子で、寺院に勤めています。
もう一人は、名の知れた舞踊家である
ルパシュリー・モハパトラです。
ルパシュリー・モハパトラは、
オリッシー発展の立役者パンカジ・チャラン・ダスからオリッシーを学んだ
オリッシーの踊り手でもありますが
シャシマ二からマハリの舞踊を学び
マハリ舞踊を教える学校を開いています。
ルパシュリーは
パンカジ・チャラン・ダスの許にいた時から
彼の許で、
シャシマニのみでなく
ハラプリヤ・デーヴィーやコーキラ・プラバー・デーヴィーなど
往年のマハリから
マハリの舞踊を学んでいました。
マハリの伝統は途絶えてしまいましたが
マハリを偲ぶよすがとして
その舞踊が伝えられています。
参考:(All Retrieved 1st November 2019)
”Last living Devdasi of Lord Jagannath dies at the age of 93” by Debabrata Mohanty (2015)
“A marriage made in heaven” in The Economist (2015)
“Sashimani Devi, Last of India’s Jagannath Temple Dancers, Dies at 92” by Ellen Barry (2015)
“Sashimani Devi, temple dancer – obituary” in The Telegraph (2015)
”Dancers pay tribute to guru – Danseuse Rupashree Mohapatra visits Sashimani Devi, the last living devadasi of Jagannath temple” by Namita Panda (2011)
”The mood is Mahari” by Namita Panda (2015)
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