🟡 3/29(金)『女たちの音づれの夕べ~パロミタ友美・佐藤二葉の二人会』 🟡

空を翔ける天人〜飛天、アプサラス、ガンダルヴァ

飛天と羽衣

仏教芸術でよく見る
飛天は、
古代ペルシャ、エジプト、イスラエルやギリシャにまで広がる
翼を持つ天人たちの流れを汲む
と言われていますが

仏教の飛天は、一般的に
翼を持ちません。

かわりに、ヒラヒラと
長い羽衣を持っています。

そう、あの「天女の羽衣」で
それを取り上げられてしまったために
天に帰れなくなった天女がいましたね。

似たような話に、
インドの「ウルヴァシー」の話があります。
(こちらが原型かもしれません。
元はリグ・ヴェーダという聖典に載っている
とっても古い逸話です。)

天女ウルヴァシーの話

画像ソース:ウィキ

ウルヴァシーは、アプサラス。
アプサラスは、天女ですが
元は水や雲の精です。

彼女たちは通常、
天の楽人ガンダルヴァたちの妻であり
ガンダルヴァの楽の音で
帝釈天インドラの宮廷で
舞い踊ります。

また、インドラの指示で
修行に励む行者を誘惑して
大きな力を錬成しないように
邪魔する役割なども負う
と言われています。

そんなアプサラスの一人である
ウルヴァシーですが、
ある時
地上のプルーラヴァス王と出会い、
恋に落ちます。

それからいくつかの季節を
共に過ごした後、
プルーラヴァス王が
ある決め事を破ったために
ウルヴァシーは天に帰ってしまいます。

…この辺りの詳細ですが、
一応裏付けを取ろうと思って
調べてみると、
私の記憶と違ったので、
こんなあっけない記述になってしまいました。

というよりも、
リグ・ヴェーダに二人の対話が
歌われていて、
その後それから発展した話や
詩聖カーリダーサによる戯曲になったり
していて
いくつかのバージョンがあるようです。

私の記憶では、
ウルヴァシーを忘れられない
プルーラヴァス王が
最終的にガンダルヴァの一員として
迎えられる…
というオチだったのですが、

これはどちらかと言えば新しい、
俗説的な話のようです。

仏教芸術の飛天

飛天は、
アプサラスに起源する
と思われているようですが、

飛天は、実のところ
男とも女とも言えない
場合の方が多いようです。

敦煌の壁画などに
描かれた飛天を見ると、
胸部の形から
明らかに女性である場合と、

たぶん女性では無いな
という場合に分かれます。

日本の仏像や仏画に現れる飛天は
男性とか、中性的なものが多い
と思ってきたのですが、

これも、改めて検索してみると
色々あるようです。

そういえば、たしか敦煌の壁画で
飛んでいるお坊さんもいますが
彼らも飛天に含まれるのかしら…。

飛天の多くが
楽器を奏でているのは、
アプサラスやガンダルヴァの性質を
受け継いでいる、
のかもしれません。

ちなみに、東大寺の灯篭には
音声菩薩と呼ばれる
楽器を奏でる菩薩像が彫られているのですが

そのひとりは笛を吹いていて
これが日本に伝えられたクリシュナ神だと
英語版ウィキペディアとか、
あちこちで言われているようです。
(誰か訂正してくれないかな)

牛飼い女たちとの恋の遊戯と、魅惑のラーダー〜クリシュナ神②

バターの好きないたずらっ子〜クリシュナ神1

アプサラスの踊り

アプサラスの舞踊は、
インドだと特に知られているものは
無いのですが、
カンボジアには
「アプサラ・ダンス」と呼ばれる
舞踊があります。

ただしこれは、
アンコール・ワットのアプサラス像を
インスピレーションとして
20世紀半ばに創作されたものです。

舞踊の名手と言われるアプサラスですが
インド内外の古典舞踊で
その名を冠した踊りが無いというのも
考えてみると、面白いですね。

けれどもきっと、
「アプサラスの踊りを作ろう」
という発想自体が、
多分に近代的なものなのでしょう。

たとえば歌手イェーシュダースが
「地上のガンダルヴァ」と呼ばれるように

「アプサラスのようだ」と
言われるような踊り手は、
きっといたに違いませんが
殊更にアプサラスの踊りを作ろう
という発想は、思いもよらなかったに
違いありません。

参考(Retrieved 14th November 2019):
飛天 by 奈良文化財研究所 明日香資料館ファン倶楽部
ウィキペディア(飛天, Apsara, Gandharva)

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