🟡 3/29(金)『女たちの音づれの夕べ~パロミタ友美・佐藤二葉の二人会』 🟡

シヴァとヴィシュヌの子・アイヤッパ神

アイヤッパ信仰の総本山、シャバリマラ。
11月から1月にかけて、この時期は
シャバリマラ寺院にお参りにたくさんの人が詰めかけます。

「スワーミイェー、アイヤッパー!」
「シャラナム、シャラナム、アイヤッパー!」

アイヤッパ神はケーララでとても人気の神様で、
虎に乗っている姿、
もしくはストイックな行者の姿で描かれます。

また、シヴァ神とヴィシュヌ神の子どもにあたります。
両柱とも男の神様なのに、何故? とお思いになるかもしれません。

ヴィシュヌ神の女性に化身した姿である、モーヒニー
とシヴァ神の間の子どもなのです。

この成り行きには諸説、というか、色々な神話があります。

一つは、乳海攪拌の時の話。
牛乳(おそらく)の海を攪拌してできた不死の妙薬アムリタを巡って、
神々とアスラ(悪魔)が対立します。
この時にヴィシュヌ神が魅惑的な美女[モーヒニー]に変身して、悪魔達の気を逸らし
その間に神々はアムリタを手に入れます。
この時、モーヒニーを目にしたシヴァ神もまた、すっかり心を奪われてしまいます。
この時に生まれたのがアイヤッパンです。
(この辺りの話は色々あるようですが、ここでは詳述しません)。

モーヒニーは、ケーララの女性舞踊、モヒニヤッタムの語源でもあります。
「モーヒニー」+「アーッタム」は、「モーヒニーの踊り」という意味。
モヒニヤッタムが「この上なく魅力的な女性の踊り」などと紹介されるのも、こうした背景があってのこと。

ヴィシュヌ神が、シヴァ神よりもどことなく柔らかで女性的なイメージがあるのは、
彼女によるところもあるのかもしれません。
また別の化身であるクリシュナ神にしても、
幼少時の子どもの姿でも親しまれ、
バターの壷をこっそり平らげてしまった逸話なども有名です。
そんなヴィシュヌ神だからこそ、アイヤッパ神の話も当たり前のように受け入れられているのでしょうか。


〔寺院で歌われるアイヤッパンの歌〕

また別の有名な神話では、アイヤッパンは
子どもができなかった王に森で拾われます。
森の聖者の助言に従い、「マニカーンタ」と名付けられて12年間育てられました。

マニカーンタが12歳になった時、悪い大臣の謀で
自分の息子を王位につけたい王妃が仮病を使います。
そして、病を癒すためには虎のお乳が必要だと訴えました。
マニカーンタは自ら志願し、そして見事に森から
雌虎の背に乗って帰還します。

これを見て、王はこの王子が神界に属する存在だと気がつきました。
王が彼のための神社を建てたいと申し出たところ、
マニカーンタは矢を放ち、この矢が刺さったのが現在のシャバリマラ寺院の場所です。
この後、マニカーンタはアイヤッパ神の姿を顕しました。

(ここまでの話は、主にウィキペディアを参考にしました)。

アイヤッパン信仰は、元々は仏陀信仰だったのではないか
とも言われています。

さて、話はシャバリマラ巡礼に戻りますが、
この巡礼者たちは黒尽くめ(もしくは、青)の装束なので、
すぐに分かります。

伝統的には、イルムリケットゥと言う、お米の詰まった袋と、
ギーをたっぷり注いだ椰子の実を持って行きます。
お米は、元々は、旅の間の食料のため。
椰子の実は、ギーで一杯にしたらコルクで栓をし、
その上から柔らかなパッパダム(薄―い揚げせんべいのようなもの)で覆います。
このギーは、シャバリマラの寺院で御神体に注ぐそうです。

シャバリマラと言えば、少し前(2018年)にニュースを賑わしました。
アイヤッパ神の禁欲的な行者としての性質から、
伝統的に男性の巡礼者のみを受け入れてきたシャバリマラ寺院。
月経の訪れる年齢の女性達(10〜50歳)の参拝が禁止されてきました。

2018年9月、最高裁がそれまでの判決を翻し、
女性を含めた全ての信者が参拝を許されるべきである、としました。

これに対して、各方面からの反対や抗議が起こりました。
すぐに参拝を試みた女性たちもありましたが、
反対派の妨害を前に、実現しませんでした。

年が明けて2019年1月、40代の2人の女性が参拝に成功しましたが、
これを受けて再び、各地で激しい抗議運動が起こりました。
州知事がこの2名が参拝した事実を認めると、
寺院は1時間閉門して浄化の儀式を行ったという事です。
(出典:Manorama Online 3rd January 2019: Retrieved 21st September 2019)

かつて、権威あるグルワユール寺院が
現代仏教のアンベードカル主導の運動によって
カーストによる参拝者の制限を撤廃しました。
(異宗教者の参拝は今も許されていません)

何が正しいという事は言えませんが、
時代の流れがどこに向かい、落ち着いていくのか
注視しています。

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