🟡 3/29(金)『女たちの音づれの夕べ~パロミタ友美・佐藤二葉の二人会』 🟡

日本から輸出されたインドの神様タイル

多治見モザイクタイルミュージアム
「世界へ羽ばたいた
和製マジョリカタイル」
という特集展示の中で

20世紀初頭
インドに輸出されていた
日本製のインド神様タイル
たくさんある
という事を知りました。

左ページ掲載の図版が右ぺージ上に見える、現在もインドの邸宅で使われているタイルの鋳型。鋳型は日本で見つかったもの。

たまたま立ち寄った場所で
こんな特集がされていた
私の引きの良さ……
に感動しつつ……

このタイルにも
やっぱりラヴィ・ヴァルマ・デザイン
使用されています。

仁丹のインド広告・日印史

From Mukharji, Projit Bihari (2020). Fanning an Eastern Breeze (Retreived 16th January)

上のうちわの
仁丹のインド広告にも
ラヴィ・ヴァルマの絵が
使われています。

こちらの記事では、
19世紀後半から
20世紀初頭にかけて
日露戦争への勝利などを挟み

独立の機運の高まるインド
特にベンガル知識人界隈で
アジアの中で快進撃を続ける
(と当時認識されていた)
日本への憧れが育っていた事。

それが、芸術・政治分野における
人的交流だけでなく
商業的な繋がりにも
結びついていた
などが書かれています。

おそらくインドへの
マジョリカタイルの輸出も
この流れの中にあったのでしょう。

日本からインドへのタイル輸出

インドの富裕層の建築に
タイルを紹介したのは
もちろん、宗主国イギリスですが

第一次世界大戦の後
その供給が落ちたところで
安価な上に、
イギリスではしていなかった
インド的なデザインを作り
その上同じアジアの国である
日本で作られているタイル
はちょうどよくハマり

1930年代後半には
インドが輸入するタイルの
半分は日本製
日本のタイル輸出の
4割はインド向け
となりました。

インド向けの
ラヴィ・ヴァルマ的な
神様デザイン
在日インド商会
日本の工房に持ち込み、

職人がタイル用に
デザインを工夫したもの
だそうです。

絶妙に単純化された
デザインには、
妙に胸が熱くなるものがあります。
(私だけかもしれませんが)

現在インドで生産されている
神様タイルは、
この日本製のタイルを
祖とするものだという事です。

日本製タイルの
インドへの輸出自体は、
戦後の1960年代まで続き、

戦後補償の一環としてですが、
タイル工房で
インド青年を受け入れて
いたこともあるそうです。

インドでの日本製マジョリカタイルについて、より詳しく知りたい方は豊山亜希さんのこちらの論文をご参照ください。(私自身は未読です、すみません)

藤森照信の建築

また、この
多治見モザイクタイルミュージアム
で、個人的に
とても嬉しかったのは、

建築デザインが
秋野不矩ミュージアムと同じ
藤森照信だったこと。

秋野不矩についても、
そのうち書きたいのですが
日本画家として
シャンティニケタン
(タゴールの創設した大学)
の芸術学部で教えていた方です。

彼女の「バウルの歌
という画文集を、
私のインド移住前に
友人がプレゼントしてくれていた…
という事にはずいぶん後になってから
気づいたのですが

バウルの画も描かれている
画家です。

その、天竜川沿いにある
秋野不矩ミュージアムの
建築の威風は
何となく覚えていて、
このミュージアムを見た時も
ほとんど一目で
そうだと分かりました。

「グローバル化」という歴史

とはいえ、
こうした日印の関係性は
とても興味深いのと同時に

今「グローバル化」と
呼ばれるような事は
様々な異なるレベルではあっても
今に至る流れは
ずっと起こり続けていたのだろうな
ということを思わされます。

南インドはそれこそ、
紀元前からアラビア海越しに
ローマ帝国とも
交易をしていました。

実際のところ、
そうした時代と、
現代はどのように、どれぐらい
違うのだろうか、と。

少なくとも、自産自消の地域が
格段に減った事は
おそらく確かで

何かを得ながら
何かを失い続けてきた
という点で、
違う事は確実だと思うのですが。

私自身は、より古い身体や
より古い感性を求めているので
だからこそ、
何が変わらなくて、
何が変化しているのかを
よくよく吟味している必要が
ある事をしみじみ思います。

また、日印交流史には
心温まるものもありますが
同時にこの時代には、
日本はアジアへの覇権を
伸ばしていた訳で
(それをタゴールが批判したりしていますね)

当初の思惑がどうであれ
日本にも、
そして私の記憶捏造でなければ
インドにおいても
中国や韓国を含めた
他のアジアの国々への
蔑視が広がっていた時代
でもありました。

……そんな事を考えつつも
この時代に生まれた
「日本的インドデザイン」
に、とても惹かれています。

参考:
多治見モザイクタイルミュージアム「世界へ羽ばたいた和製マジョリカタイル」パンフレット(豊山亜希・加藤郁美の両氏による論考)
Mukharji, Projit Bihari (2020). Fanning an Eastern Breeze. (Retreived 16th January)

現代インド神様絵の祖:ラージャー・ラヴィ・ヴァルマ

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