と思われがちですが、
インドは楽器の宝庫であり
打楽器のバラエティも豊富です。
今回はその中でも
タブラの元になったとも言われる
両面太鼓を6種類、
ご紹介します。
画像ソース:ウィキ
インドのほとんどの打楽器に
共通する事として、
「ボール」や「コンナッコール」
などと呼ばれる
リズム言葉の存在があります。
タ、ティ、トン、ナム
タディギナトン
タゲナディナゲディナ
など
いわゆる口三味線ですが、
リズムの構成が非常に発達しているため
この言葉自体が一つの言語、
一つの音楽文化にまで
昇華されていると言っても
過言ではありません。
この言葉が
それぞれの楽器を用いる
歌曲や、舞踊にも
取り入れられたりしています。
今回はその詳細まで入る事はしませんが
この言葉を知っている人は、
太鼓の音が全てこの言語で聞こえてくるそうなので
そんな事もどこかで思い出しながら
聴いてみると、
より面白いかと思います。
ムルダンガム
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現在一般的にムルダンガムと
呼ばれているのは
南インドの両面太鼓ですが、
言葉自体はとても古いサンスクリット語で
「ムリト(土)」+「アンガ(手足)」を意味し
(古代では陶製だった)
この言葉自体は北インドでも使われています。
神々の楽器でもあり
象頭の神様ガネーシャが叩いているのも
ムリダンガムです。
タミル語では「タンヌマイ」とも
呼ばれていました。
ジャックフルーツの木を
くり抜いて作られ
両面の皮はヤギ皮です。
また、両面を繋ぐ紐も
同じ皮から取られています。
大きい面と小さい面があり、
大きい方が低音を出します。
小さい方の面に貼られている
黒い部分は、
米粉と酸化鉄、そして澱粉が
混ぜ合わされたものです。
これが金属的な響きをもたらします。
〔古い映像ですが、往年の名手(神)パルガット・マニ・アイヤール〕
主に南インド古典音楽で
使われています。
ムルダンガムのリズム言葉が
他の打楽器を学ぶ時にも
使われているそうです。
パカーワジ
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南インドのムリダンガムの
北インドの兄弟であり
現在は古典のドゥルパド音楽や
舞踊オリッシーの音楽などの
伴奏として使われています。
低い方の面には
小麦粉を水で捏ねたものが
演奏の前にその都度貼られ
これが独特な反響を
作り出します。
14世紀に当時の奏者たちが
様々に試行錯誤を重ね
その前には陶器だった胴を
木製にして使うようになり
その頃から
名前も「ムリダング(ムルダンガム)」
からパカーワジになりました。
〔巨匠シュリカーント・ミシュラ、ウスタッド・S・ダーガルの伴奏で〕
パカーワジを二つに分けたのが
タブラの始まりだったとも言われていますが、
タブラの起源については
様々な説があり、決め手となるものでは無いようです。
コール
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コールKholはベンガル、オリッサ、アッサム、マニプールなど
インド東部〜東北部で
使われている両面太鼓です。
コールの胴は陶器で出来ていて、
ヤギもしくは牛の皮が張られています。
両面とも米粉と糊、そして鉄分を混ぜた
シャヒ(黒い丸)が
貼り付けられています。
大小の面も大きさの差がとても大きく
抜けるような高い音程が出ます。
〔名手ハレクリシュナ・ハルデール〕
ヒンドゥー教のヴィシュヌ派の
寺院などで広く伴奏に使用され、
ハレ・クリシュナの伴奏楽器としても
知られています。
ドール
〔パンジャーブのドール〕
「ドールDhol」と呼ばれる楽器は
一つでは無いようで、
主に民俗音楽で使われる
民衆的な両面太鼓が
全般的にドールと呼ばれています。
ドールは基本的には
二本のバチを使って
演奏されます。
〔アッサムのドール。ビフ舞踊の一部として〕
タヴィル
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タヴィルはタミル・ナードゥ州の
寺院音楽で使われる
主に古都タンジャーヴールで
使われてきた両面太鼓です。
胴はジャックフルーツの木で作られ
大きい方の面には水牛の皮が、
小さい方の面にはヤギの皮が
何層か張られます。
大きい面の方が強く張られるため
小さい面よりもこちらの方が
高い音が出ます。
ナーダスワラムという管楽器と共に
主に演奏されます。
どちらも割と強烈に、爆音です。
〔ハリドワーラマンガラム〕
高音の大面は指で、
(親指には小麦粉でできたキャップを付ける)
小面はバチで演奏します。
マッダラム
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南インドのケーララ州の
様々な民俗音楽、
カタカリの音楽などでも
使われる両面太鼓。
ジャックフルーツの木から
作られた胴に、
水牛などの皮が張られます。
音程の異なる両面を
キャップを付けた指で
叩きます。
〔チェルプラッシェーリ・シヴァン〕
***
まだまだ様々な打楽器が
ありますが、
ここでは割と知られている
大きめの両面太鼓を
ご紹介しました。
参照:
英語版ウィキの各項目 (Retrieved 18th October 2019)
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