12月15日〜ベンガル民俗画・ポトゥア絵のウェブ販売をします。

チャイはお茶という意味です〜インドとお茶の歴史

インドと言ったらマサラ・チャイ。
というイメージがあります。
ダージリンやアッサムなど、
有名なお茶の産地も
ほとんどがインドです。

インドで「チャイ」は
ただ「お茶」という意味なので
ストレートの紅茶も「チャイ」と呼ばれます。

実のところ、インドでこれほど
お茶が普及したのは
比較的最近の事ですが
人々は朝昼晩と
いつでもお茶を飲んでいます。

どのように、ここまで広まったのでしょうか。

「チャイ」の語源

歴史的には、中国の「茶」が
テーやチャーなど、
地方によって異なる呼び方をされていましたが
「テー」が英語に入りteaになり、
「チャー」は広東語から
香港やマカオで交易をしていた
ポルトガルを通してインドにも広まりました。

一方、ペルシャも古くから
お茶を取り入れており
「チャー」「チャーエ」と
呼んでいました。
これがイスラーム王朝であるムガル帝国を通して
インドにも広まったようです。

ちなみに、緑茶も紅茶も
同じ茶葉から作られますが
紅茶の方が保存が利くからか
ヨーロッパやインドでは
長いこと紅茶が主流でした。

南インドだとチャヤ、
ヒンディー語だとチャーエ、
ベンガル語だとチャー
などと呼ばれています。

今、日本語と同じように
英語でも、「チャイ」は
スパイスの入ったマサラティーとして
一般的な言葉として
取り入れられています。

お茶の歴史

中国で伝統的に親しまれて来たお茶は
17世紀にはイギリスで
非常に高値で取引され
王侯貴族に嗜まれていました。

18世紀、オランダが
英国東インド会社を出し抜いて
茶を大量に密輸するなどありましたが
オランダのお茶は品質が悪いと
悪評だったそうです。

英蘭戦争の影響で
中国との取引に銀を使えなくなった英国は
インドで阿片を育てて
中国との茶葉の取引に当てました。

18世紀後半には
茶葉を自前で育てる動きもありましたが
19世紀前半、インド北東部のアッサムで
自生する茶の木が発見されるや
茶農園がアッサムからダージリンにかけて
広く開拓されました。

アッサムでは、お茶っ葉は伝統的に
薬草として飲まれていました。

更に19世紀半ばには、
植物学者のロバート・フォーチュンが
中国から茶の苗を大量に
インドに持ち込み
英国による東インドの茶畑経営を
確固たるものにしました。

インドでのお茶の普及

インドの鉄道ホームで
お茶がストーヴとヤカンと共に
売られるようになったのは
第一次世界大戦の後の事です。

地元の売り手たちが
牛乳や砂糖を混ぜて
売り始めるのに
時間はかかりませんでした。
北インドでは、すぐに
生姜などのスパイスも足されるようになりました。

これは、茶葉を使い回しながら
いかにおいしく売るか、
という工夫でもあったようです。

当初、英国主導のお茶協会は
インドの工場や採掘場などの労働者に
「ティー・ブレイク」
お茶休憩を設けて
安価でお茶を提供しました。
お茶の中毒性の効果はよく発揮され
これが普及に一役買いました。

チャイ屋で使われる
土製で使い捨ての小さなコップは
長いことチャイの象徴でしたが
近年は紙やプラスチックのコップに
取って代わられています。

現在のインドのお茶

インド人の、お茶の
消費量というか消費習慣は
まさに人生の一部、という感じ。

家では朝のお茶と午後のお茶が
定番ですが、
外に行くと、あちこちに
チャイワーラー(お茶屋)がいるので
事あるごとに飲みます。

チャイと言えばスパイス、
というイメージがありますが、
南インドや、
東インドのベンガル地方でも、
ただの砂糖入りミルクティーな事が多いです。

電車などで回って来る売り子は
既に全部混ざったのを
持ってくるのですが、
お店だったら、
「砂糖なし」「砂糖は少しだけ」
などの注文も付けられます。
ミルクなしの紅茶は、
やってくれるお店とできないお店があります。

インドでは糖尿病が
社会問題になっているようで
ウォーキングをしているおじさんを
この頃は見かける事もありますが
単に好みで
「砂糖なし」とか、「ブラックの紅茶」を
好む人も一定数、います。

家で作る時は、
鍋などで火にかけて
作ります。
改めて考えてみると、
イギリス式のティーポットを
インドで見る事はほとんど
ありません。

私がケーララで教わったやり方は
最初から水と牛乳を1:1で混ぜて
火にかけ
(スパイスで香りをつける場合は
この時点から入れる)
沸騰してきたら、茶葉を入れて
少ししたら火を止める、
(砂糖を入れる場合はこの時)
それから茶こしで
別のポットか、あるいは
直接コップに注ぎます。

私の周りは私も含め、
牛乳が飲めない人が多いのですが
茶葉を丸まっていない方
(いわゆる日本で言う紅茶)
で入れる以外は、
基本的に同じ淹れ方です。

牛乳を使う場合は、
丸まっているお茶っ葉(CTC)でないと
きれいに味と色が出ません。
CTC(crush, tea, curl)は
細かい歯のついたたくさんの円筒で
茶葉を潰し、ちぎり、丸める
という製法で
1930年に発明され、
50年代にはインドとアフリカに普及しました。

***

インドで何かを学んだりすると
先生の所で授業の合間に飲む紅茶の時間
が習慣になって、
日本にいても
「紅茶の時間」を持つように
なってしまいます。

「ティータイム」というコンセプト自体は
英国由来のものかもしれませんが
どんなに忙しくても
どこか余裕が持てる
大事なキータイムだと思います。

参照(All Retrieved 19th October 2019):
India in a Tea Cup: The Fascinating History of India’s Best Loved Beverage, Chai”  by Sanchari Pal (2016)
History of Masala Chai: A Quick Dive Into The Origins of India’s Favourite Drink” by Sushmita Sengupta (2017)
Chai – the drink India can’t live without” by Zach Marks and Resham Gellatly (2014)
How chai arrived in India 170 years ago” by Arup K. Chatterjee (2018)
英語版ウィキ “Etymology of Tea
英語版ウィキ “Masala Chai
英語版ウィキ “Crush, tear, curl


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