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思想は人を分けない

カムラ・バシンさんのこと

今年の9月に亡くなられた
カムラさんは、
上の動画でもそうですが
「父権制こそがウィルスだ!」
と確信を持っておっしゃるような
強い女性で

(後半、日本語に書き起こしたものを掲載します)

そしてインドで活動家をやるということは
たぶん、殺害予告とか、
そんなことは日常茶飯事だったと思います。

そういう中でこの動画のような
鋼の強さを持ち続けた方。
近くにいると、本当に太陽のようでした。

コメント欄には、
「彼女の思想は仏教の核心をついている」
というような言葉も見えるのも興味深い。


バウルはクリシュナ神を
よく歌いますが

カムラさんは、
「私はクリシュナやラーマは大っ嫌いだ」
と言うような方で

実際、そうした神の名の下に
モスクが破壊されたり、
何らかの抑圧が行われるなんて
世の中にはよくあることで

彼女にとっては、
まさに父権社会の象徴というところ。

でも師匠にとっては、
バウルにとっては
どうしたって、
クリシュナがすべてであるという
圧倒的な実感があり、
そういう現実を受けているのです。

だから、思想的には、
きっと分かり合えないことも
たくさんあっただろうと思います。

だけどおふたりは本当に仲が良くて
お互いをとても尊敬していました。

亡くなられる前日にも電話で話して
疲れているけど幸せだと
答えたと言います。

「また会おう、友よ」と言って
そして翌朝には旅立っていった。


誰かが
「安らかな旅立ちと
良い来世のために祈ります」
という言葉を寄せたとき

師匠は
「彼女はもう戻ってくる必要は無いと思う」
と返しました。

つまり、彼女はこの世にやって来て
自分の役目を果たして
ただ帰っていった

そういう認識を、師匠が持っていたということ。

 

上で紹介した彼女の動画の前半部を、
邦訳して書き起こしておきます。
(止めどころが分からず
全部訳してしまいました……)

動画書き起こし邦訳

今日のすべての瞬間が
やがて明日と出会います。

時は絶え間なく流れ続ける。

ただ、普通は
私たちはこのこと、つまり
今日が明日と出会うということについて
考えません。

しかし危機においては
考えるものです。
今日は良い日だったか
そして、どんな明日を望むのか。

この小さな、コロナというウィルスが
虫眼鏡のように
私たちを煩わせる
社会的・経済的なウィルスを
可視化しています。

権力を持つ存在がつくり出し
育て、広めてきたウィルスです。
世界と、他人を支配するために。

そのウィルスの代表格が、
父権制で
何十億もの人の人生を
めちゃくちゃにしたウィルスです。

女性も、男性も、
トランスジェンダーも、同性愛者も。

そしてそれに関連して、
「有害な男らしさ」というウィルスもあります。
女性であっても
このウィルスに罹患する人もいます。

南アジアには、
カーストというウィルスもあります。
何百万人もの人々の
まともな生活を
危機に晒しています。

そして、人種というウィルス。
宗教的熱狂。

そして、私が最も危険なウィルスだと思うのは
欲深さです。
今、「災害資本主義」と大勢に呼ばれるものを
作り出した貪欲さです。

この災害資本主義は、
大変な不平等を引き起こしました。
ほんの僅かの、過剰なまでの金持ちと
その対極の、貧困層の悲惨な窮状。

そしてこの地球は、
私たちよりもよほど、
私たちの作り出したこのウィルスによって
苦しんでいます。

この文明への、私のシニシズム(皮肉)を
強調するのに
ガーンディー翁の言葉を紹介しましょう。

何十年も前に語られた言葉です。
「母なる大地は、すべての人に
必要なものは充分に備えているが
すべての人の欲望を満たすほどは
備えていない」

誰かが、
大英帝国と同じスタンダードの生活を
インドにも望むかと尋ねると、

「あの小さな国は
そのスタンダードを実現するために
世界の半分を食い物にしなければいけなかった。
それならばインドは
いくつの地球を
食い尽くすことになるだろう」
と言いました。

そして西洋文明について
どう思うかと聞かれたときは、

微笑んで
「グッド・アイデアですね」
と答えたそうです。
ユーモアのある人だったんですね。

今日、指導者の席にいる人々が
彼のやり方を踏襲していないことは明らかです。

だけど彼らは、世界中に
ガーンディー像を建てました。

私たちも同じことをしています。

私たちは、
宗教の本来の価値観には
従わないのに
誰にも数えきれないほどの
お寺やモスクや教会を
建ててきました。

今日のこの世界について
そしてどんな明日を必要としているのか
私がどう思うかを説明するのに
ひとつお話をしましょう。

2500年ほど前の話です。

やがて仏陀となるガオタマは
外で遊んでいる時に、
白く美しい鳥が
空から落ちるのを目にしました。

彼は鳥のもとに駆け寄って
抱き寄せると
その胸元を貫く矢に気がつきました。

その矢を抜くと、
周囲の人の力も借りて、
鳥を蘇生しようとしました。

その時、少しばかり年上のいとこが
駆け寄ってきて、

「おい、ガオタマ。
おれの鳥をよこせ」

「おまえの鳥だって?
空から落ちてきたのに?」

「勘弁してくれよ!
その矢は、おれのものだ」

「この矢は、おまえのもの?
この鳥を殺したかったのか。
私は、この鳥に生きてほしい。
だからこの鳥は、私のものだ」

この話は、
私にとって、すべてを象徴しています。

この話のいとこは
今日の、ある種の指導者や企業を
象徴しています。

『止まるところを知らない欲望』症候群
を患っている人々です。
権力への執着に取り憑かれています。

彼らは、人間は
自然とは乖離した存在だとして
私たち人間が
自然の支配者であるとする
人間中心主義を信じています。

あのいとこ殿と、その後継者たちにとって
母なる自然は、ただの資源でしかありません。
聖なる川も、大地も、水も、海も
「自然資源」と呼ばれます。

人類は、「人間資源」。
私たちの、社会的な関係は
「社会資本」。

すべて、利益というものに
奉仕する存在です。

人や、命そのものに
まさる利益

利益のために、自然を荒らし、毒し
国を汚染し、植民地化し、何百人も殺す
利益のための教育
利益のための福祉
利益のためのジャンク・フード
利益のための兵器。

一方で、ガオタマは
人と自然は共に生きるべきだという
思想を象徴しています。

ガオタマは愛を、
育み、気にかけることを
象徴しています。
カルナー(慈悲)です。

自然を壊すことなく
生きるのに充分なだけ働いてきた
小さな農家や漁師たち、
職人の心を象徴しています。

このガオタマの心が
私たちの明日が必要としているものだと
私が信じるものです。

そして私たち人間は、
何が自分たちにとって良いか
実は知っているのだと
信じています。

だからこそ、仏陀や
イエス・キリスト、ムハンマドのような
よき価値観を持った預言者たちを
信仰するのでしょう。

だからこそ世界人権宣言を作ったのでしょう。
とても立派で人道的な憲法も
各国で制定されています。

ただ問題は、
世界の実権を握っている人々が
それに従っていないことです。

そして私たちは
預言者たちをお寺や教会やモスクに隔離し
憲法を分厚い本に隔離します。

これは、変わる必要があります。

私たちの明日は、
崇拝する価値観を
実際に実践するべきです。

平和的で持続可能な明日のためには
アフリカで「ウブントゥ」と
呼ばれるものが必要です。

「私たちがいるから、
私がいる」

支配ではなく
和が必要です。

排除ではなく受容が
単一文化ではなく、多様性が
首を狙うような競争ではなく、協調が
破壊的なクローバリゼーションではなく
ローカリゼーションが
参加型の、地球的な民主主義が必要です。

自然と人々は
利益よりも上に
置かれなければなりません。

有毒な男性性や軍国化は
私たちの明日には必要ありません。

友人たち、みなさん
私たちは必ずそれができると
信じています。

だって世界中の多くの人が既に
これを実践しているのだから。
かつてガーンディーが語り、
私が今提案していることを。

この世界をめちゃくちゃにしているのは
ほんの少数の人々だけで
それは抑えられなければいけません。

そしてどうすれば
自然と調和して生きる
残りの大多数の人々に
実権を渡すことができるのか
一緒に考えなければいけません。

その最初のステップとして、
まずは自分たちのことを
Human beings(人間存在=人類)
だと呼ぶのをやめましょう。
Earth beings(地球/大地存在)と呼びましょう。

私たちは母なる地球の子どもで
その支配者では無いのだと
いつでも覚えていられるように。

その次のステップは
望む変化に、自らなることです。

生活を持続可能、生存可能、
そして創造的にする価値観を
実践することです。

私たちの行動が
変わる必要があります。

今日よく見られるように
ただ、政治的に正しい言葉遣い
(ポリティカル・コレクトネス)
をするだけでは無く。

その次は、家族が実践し
次の世代に伝えていく必要があります。

すべての存在への敬意
すべての存在のための資源
民主主義
誰もが家事に参加すること

男の子や男性が、子どもや高齢者の
面倒を見るとき
ひとつの人生を作る大変さを
理解するでしょう。

憲法に示される価値観は
聖なるものであるべきです。
そしてその聖なる価値観が
政治や経済を、そして私たちの
他者との関係性を
かたちづくるべきなのです。

そして最後に、
私たちの明日が必要としているのは
愛の力です。
力や支配への愛ではなく。

(訳責:パロミタ)


 

 

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