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スムルティの妊娠出産手記⑨

 
 
 
 
 
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Smriti Chanchani(@dhoop.chhaon)がシェアした投稿

臍の緒が白くなる頃には、外の雨はポツポツと言う程度になっていた。姉たちが代わる代わる、この白いリボンを切った。私は産後のひどい悪寒に襲われていて、そして胎盤が出て来ていなかった。しばらく赤ちゃんを抱きしめたあと、ラームに託して、助産師たちは私に何枚も布団を被せてくれた。

オーギュスティン(@artofbirthing) が丁寧に臍の緒を確認して、胎盤残留か出血の危険があると察した。彼女はすばやく、数分もしないうちにロシリン(抗生物質)を用意した。私の体が子宮収縮を続け、胎盤を吐き出すのを助けるためだ。それから風呂場まで連れて行ってくれて、まっすぐに座らせた。そうして重力の助けも得ながら、腹の上の方を職人技といった感じで押した。ちょうど30分後ぐらいに、胎盤が滑り落ちて出た。

オーギュスティンが私の、少し裂けてしまったところを縫合する間、私たちの小さな赤ちゃんは手探りでラームの乳首にたどり着く。見習い助産師のチェータナーは赤ちゃんの周りを動き回りながら様子を確認して、私たちからその子を取り上げたり、邪魔したりせずに、必要な測定を済ませた。

ラームと私は対角線上に反対に横になって、赤ちゃんを、そしてお互いを見つめた。娘は彼の腕の中にいて、部屋はほの明るい。もう悪寒は去っていて、部屋はただ幸せな人々の間を懐中電灯の光が踊っていた。


すべての過程に助産師の卵たちが同席して勉強してくれたことを嬉しく思う。もっともっと、素晴らしい助産師たちが必要だと強く信じているから。私たちは9人みんなで座って、胎盤をしげしげと見た。この数ヶ月というもの、この赤ちゃんの世界そして生命の木であった、くらげのような美しい構造に驚きながら。そして母と子を最高にすばらしく繋いでくれた頑強な臍の緒。オーギュスティンがAPGARスコア(皮膚の色、心拍数、刺激による反射、筋緊張、呼吸数)や他の詳細について説明しているのを聞きながら、でも私たちの頭はまだ興奮でざわざわしていた。だからただオーギュスティンの両眼を見つめて、すべてうまくいっていると彼女が感じているらしいことが確認できれば十分だった。


確固とした鼓動を鳴らしてこの出産を生き延びた、この小さな小さな魔法のような不思議に私たちみんなの目が釘付けだった。頭蓋骨が骨盤からの圧力によってかすかに窪んでいるのが、彼女の冒険を雄弁に物語っていた。私たちみんなテンションが上がっていて、私も急に元気になって、おしゃべりや笑い声を上げた。私はまだ、この子がここにいるということが信じられなかった! 私たちを休ませるために、部屋から少しずつ人が減っていった。娘をふたりの間で繭のように抱きしめるというのは、なんて奇妙で素晴らしい気持ちだろう。この宇宙への限りない感謝を感じながら、私たちは深い眠りについた。

やり遂げたという実感が染み込むには何日もかかった。出産までの不安に満ちた日々の合間にも、私はよく「でも分からないでしょ、すばらしい、美しい出産になるかもしれないじゃない」と言っていたのだけれど、これは本当のことになった! 他の様々なことからも構成されていたけれど、美しかったのもまた本当のことだ。

私には伴侶と、ふたりの姉妹という三柱の強固な支えがあった。そして最高に忍耐強く献身的な出産チームには、オーギュスティンを指揮者として、見習い助産師のチェータナー、メーガナー、スネーハーがいた。ルビナーとハリニーも学びのために同席していた。52時間にわたって、この5人のチームが途切れることなく、できる限りのことをしてサポートしてくれた。最初から最後まで、こんなふうに圧倒的なケアを受けられたことを信じられないほど幸運なことだと思うし、感謝の念が湧き出てくるのを止めることができない。

助産師というのは、智慧と知識、力と思いやりを体現している。私たちに導きが必要なときはその手を取り、私たちが自らの内から湧き出てくる叡智に身を任せ始めると一歩下がる。最初からそこにいて、私たちの準備を肉体的、感情的、精神的にととのえてくれた。私たちが元々知っていた世界の涯て、崖に波が打ち付けているところまで寄り添ってくれて、私たちが未知の世界に飛び込むと、向こう側に出た先で待っていてくれて、受け止めてくれた。時と同じほど深いところをはしる姉妹の絆の縮図。あなたたちがこれほどの愛と配慮でこの世に命を迎え入れ続ける限り、ずっと月明かりの下で舞い、再び日が上る暁を浴び続けられますように。あなたたちなしに、いったい何ができるだろう?

<了>

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