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王家の保守派に疎まれる音楽家王子(プリンス・ラーマ・ヴァルマ)

2018年の秋に来日されたラーマ・ヴァルマ王子のインタビューです。
私はケーララに住んでいた頃、彼の主催する音楽祭に通っていました。
共演者や招待アーティストが大好きで仕方ないという風に語り、
すごく楽しそうに歌う彼の、すっかりファンになっていました。
だから、来日公演では通訳をさせていただいて、とても嬉しかったです。

2記事続けてご紹介します。まずは短く古い方から。

彼は王族である。しかし彼のコンサートに行って、その事を思い出す人はいないだろう。彼は普通私たちが考える「王子」という存在とはまるで違う——つまり、傲慢で、装飾品に纏われ、キラキラしていて、SPに護られ…そういうイメージだ。実際にステージに座っているその人は、穏やかで明るく、心の温かい人に見える。伝統的で質素なクルタを身につけ、おどけたジョークで観客の笑いを誘う。

トラバンコー王家の一員であり、19世紀のマハラジャ音楽家、スワーティ・ティルナールの直系の子孫でもある。ラーマ・ヴァルマ王子は世界中のカルナーティック音楽愛好家の間でよく知られている。
「僕は王家の例外的な存在。インドの王家は宮廷に音楽家やアーティストたちを呼び寄せて歌わせたり踊らせたりしていたけど、僕はその逆だ」アーティストと王家という珍しい取り合わせについて、彼はこう語る。

王家の反対にあいながら
彼が南インド古典音楽、カルナーティックの声楽家になる事を選んだ時、今では48歳になった王子はその青い血統、王家の大反対にあった。
「インド王家の保守派は僕が音楽家になった事が今も気に食わない。更に古典音楽の教師になった時には、もっと社会的な評価を貶められた。たぶん、僕がどこにでも行き、滞在して、ツアー中は出されたものを何でも食べる事とか…そんな事が、いわゆる王家の面々には受け入れられないんだろう。あとどれだけ「王族」なんて存在が残っているのかは知らないけど」と皮肉げに語る。

個性的なのは人柄だけでなく、彼のコンサートもまた、ありきたりではない。ただ一曲また一曲と曲を並べていくのではなく、ヴァルマ王子はそれぞれの意味を説明しながら聴衆の興味を惹きつけていく。たとえ話や、個人的な思い出話や考えと絡めて語るのもお手の物だ。

コンサートは多様な意見の避難所
「どのコンサートでも、カルナーティック音楽の知られざる宝石を紹介する場であるべきだと思っている。そうは言っても、人気のある曲を歌わないと文句も出るかもしれない。だから僕は聴衆とコミュニケーションを取って、なぜその曲を歌うのかを分かりやすく説明するんだ。まあ、ジョークに見せかけて僕の個人的な意見を言ってしまう事もあるけど、それもアリかなと」更に言えば、彼が時事について自由に語れる場はコンサートだけなのだと言う。なぜなら、コンサートでなら音楽の文脈の中で語る事ができて、他の場面であれば反発されるような考えもその流れの中で許されるから。
「昨今は何か意見を言うにも、よく吟味してから口にしなければいけない。社会に流れるこの不寛容さは残念な事だ。民主主義が保障する表現の自由に即していて、特定の誰かを傷つける意図が無いものでも注意しないといけない。僕のコンサートに来てくれる人は僕と似たような感覚を持った人が多い。必ずとは言えないけど、大体ね。特に子どもたちと交流するのが好きだ。現代の悲しい現実についても少しだけ、明るくユーモアを交えて伝える事もできるしね」

古典音楽へのテクノロジーの恩恵
ヴァルマ王子に感じるところでは、テクノロジーはカルナーティック音楽にとっては祝福である。インド内外で北インド古典音楽ほどには後援が得られない状況を踏まえると、インターネットの普及は良い影響をもたらしている。「自分の例でしか話せないけど、動画サイトが広まってからというもの、それまでは年に1000〜2000閲覧される程度だったのが、一気に740万に膨れ上がった。これは凄い事だよ。映画やフュージョンに参加して歌ったり、リアリティ・ショーに出る事なしに、古典音楽だけでこれだけ観てもらえるようになったというのは。カルナーティックだけでなく、インド古典音楽全般にとって良い事だと思う」こうヴァルマ王子は語る。

「みんな高い声を出したがるけど、低い声も大事」と語るヴァルマさん。
訳責:パロミタ

マハラジャ音楽家にしてパトロン〜スワーティ・ティルナール

南インド古典、カルナーティック音楽の歴史

音楽が生きる意味をくれた、と音楽家ラーマ・ヴァルマは語る

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