🟡 3/29(金)『女たちの音づれの夕べ~パロミタ友美・佐藤二葉の二人会』 🟡

自分のうたができる、歌う、ということ

ある晩、
何だか動けなくなって
寝っ転がっていたら、
急にうたが降りてきた
ということがありました。

ここ数年、
「自分のバウルの、
日本語のうたが
作れるようになるのは一生の野望」
的なことを言ったり、

「次のソロ公演の前には
まずは日本語で歌えるうたが必要」
とか言ってみつつ

納得のいく成果は何も
出てきていなかったのですが

何か、急に降りてきました。

– * – – * – – * – – * – – * –

後で分かったことだけど、
それはたぶん
祖父が亡くなる数時間前のことで

そこから堰を切ったように、
うたができるようになった
(それから10日ほどの間に、
ぜんぶで5曲できました)。

正直、苦手な祖父であり
私の活動自体を歓迎していなかったけど

彼が何かの枷を
取っ払っていったような気もします。

そうしたら姉が、
「本人の意思や人格とは別に
死が何かの堰を外す現象は絶対ある!」
と言うので

ああ、やっぱりそうなんだな、と。

(こういう情報は、
検索しても出てこないので
何か思いついたものの確信が持てない時
よく、この姉に投げかけてみる)

– * – – * – – * – – * – – * –

このうたを、作っているうちから
涙がポロポロこぼれ落ちてきて

定着させるために
何度か繰り返している間も
ずっと涙が滲んでいました。

師匠がバウルのうたを歌うとき、
年を追うごとにいや増して
涙を浮かべる。

それがどういう体験なのか、
私はずっと不思議に思っていたのですが
それが、その片鱗でも
分かりかけているように思うし

だからこそ、
バウルの行をするのなら
自然と自らのうたを作るようになるのだと
師匠は言ったのだろう、とも
思いました。

実際、自分のうたができた
その瞬間から、
バウルのうたを歌う体験というもの
それ自体が、変わってきたように
感じられます。

うたを自分のものとして歌うという実感、
その体験が、たぶん初めて、
本当に分かったのでしょう。

そして、自らのうたというのは、
お守りのように
私という存在に寄り添ってくれるのだと
よく分かりました。

そして、バウルのみならず
多くの社会で
(すべての、と言わないのは
単にちゃんと調べていないから)
即興で歌うことが重視されてきた
あるいは、当たり前の生活の一部だったのは
きっとそのためでもあったのではないか

そんなことを、思います。

自分の言葉として、思いの丈を歌うこと
それ自体の効能、それ自体の力が
共有されたただの現象として
あったのではないか。

ただ、これが近現代的な
作詞作曲にも当てはまるものなのかまでは
私には分かりません。


– * – – * – – * – – * – – * –

私のうたというのは
特別にバウルの旋律というわけでもなく
どこかで聞いた歌謡曲のような旋律な気もするし

だけどそうしたことは関係がなく

これはバウルのうただ、と思える。

そして恐れ多いようですが
先日タゴール・ソングスの再上映
この時には既に数曲できていたので

以前よりも、バウルの影響を受けたタゴールが
はっきりと見えました。
あるいは、インドの詩の伝統の中に
はっきりと立つタゴールが、実感として。
これは、どこまで、何を言ってよいのか
まだ分からないので、これ以上は語りませんが。

私はバウルの文法でうたを作りましたし、
もはやそれ以外を知りません。

体験から、言葉が生まれ
降りてきた形を
再現するように、落とし込むように
書き記していき
それを声に出すときには、
既に旋律があり

もし違和感があれば、
ひたすらに違和感がないところを
探っていく。

子どものような作り方かもしれませんが
こんな単純なことでも、
2月7日の夜、急に「起こる」
までは、できなかった。

そして一度できるようになると、
断続的に、ボロボロと
何曲もできました。
(どこかで休憩が入るだろうとは思います)

正直、その間、業務的な仕事は
全然できなくなったりもしていて

そうしたことも含めて、
今はとても不思議な期間にいるような気がしています。

– * – – * – – * – – * – – * –

少しずつ、公演などでも
歌っていこうと思いますが

ただ、バウルのうたの訳などで
時に言われるように
私のうたも、恋歌のように思われるのかなと思い
それも間違いとは言えないし、
別にいいんですが
でもやっぱりそれは恥ずかしいな〜
という思いもありつつ

まあ、おいおい、公にも歌っていきます、たぶん。
おそらく、誰かが必要とするものだと、思うので。

 

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