天竺画展オンライン、開催中。

バウルと修行のこと

この映像は、私の師匠パルバティ・バウルによる
バウルの舞歌いを記録したものです。
さて、バウルとは何でしょうか。

歌い舞う行者バウルの伝統

東インド・ベンガル地方の田園地帯に、
村から村へと居を移しながら
この世の秘密に迫るうたを歌い交わし
農民たちに愛され尊敬されて
喜捨によって生活する
バウルという行者たちがいました。

村の環境が目まぐるしく変わり
貨幣社会になっている現代では
全く同じ生活を続ける事はどんどん困難になっていますが、
バウルの素朴な詩にひそむ智慧には
どんな聖典にも匹敵する深さがあり

かつ、その表現が
身体をフルに使った
歌い、舞い、奏でるという形態を取る事で
修行の伝統だけでなく、芸能文化としても
未来へと引き継いで行こうという
こころみがなされています。

とはいえ、まず何よりも修行の伝統であり
修行の内実やあり方、めざすところは
ひとりひとりのバウル行者により
違ってくるところもありますが、
確かな事は、芸能である事は目的ではなく
修行ゆえの結果であり、過程であるという事です。

私パロミタは
そんなバウル行者として、芸能者として
世界的に高い評価を受けるパルバティ・バウルに
2013年以来師事して、学ぶようになりました。

日本とインドを行き来しながら学びを続け、
2017年からは師の許しを得て
公演活動も行なっています。

バウルとは何か

バウルとは何か、という事は
とても一言で言えるものではありません。

たとえば、こんな説明をする事があります。

バウルとは、舞い歌う行者
いにしえから連綿と受け継がれて来た
ヨーガ行の流れであり、
その源流は15世紀の聖人チャイタニヤにも
8世紀の仏教遊行僧にも遡れる。

イスラーム神秘主義のファキールやダルヴィーシュ、
更には土俗的で肯俗的な女神信仰など、
様々な要素を包含した詩を歌う。
今もインドの西ベンガル州やバングラデシュ地域を中心に生きている伝統。

しかし、これではきっと
ボンヤリと神秘的なイメージしか
浮かんで来ないでしょう。

言ってしまえば、バウルは
実際にバウル達に出会わなければ
体験しなければ、分からない
そして、私というヒヨコ行者では
その魅力と奥深さがおのずから伝わるには
まだまだ足りない

という事を、数年の日本での活動で
痛感していますが
ここではもう少しがんばってみます。

以下の記事は、イメージを掴むのに
参考になるのではないかと思います。

バウルという風景〜ダルリンプルNine Livesより

村の家々をまわり歌うマドゥコリ(蜜集め)

「おまえのうたに耳を澄ませ」音の行とは何か

他にも、バウルに関連する記事は
こちらに一覧があります。

[師匠の師匠、ショナトン・ダス・バウルの映像。1986年という事は、私の生まれた年。当時既に60代です]

私はバウルではありません

少なくとも、まだ、
私に「バウル」と名乗る資格はありません。

私は、バウルの道を歩む者です。
バウルの修行をしているので、
バウル行者ではあるのですが、
まだ「バウル」では無いのです…

と言うと、面倒臭いな…と
思われるかもしれませんが
自分がどんな位置にあるかを知って、
そしてそれを他人に偽らない事は
とても大事な事なのです。

バウルは、よく「自由だ」と
言われます。
それはその通りなのですが、
同時に修行の道に身を投じたら
様々な決まりごとや規律があります。

私にとっての修行という体験については、
以前こんな記事を書きました。

自由になるために奴隷になる〜人はなぜ修行をするのか

修行という生活

修行というものが
どうあるべきかについて、
私は今も手探りです。

ただ、少しずつ、年月を経る中で
少しずつ、行者になる事ができてきた、
という気がしています。

今の私にとって、修行とは
捧げる事です。
捧げる事、委ねる事を学ぶ事です。

不安や恐れに引きずられる心を
どのように見つめ、受け入れ、
そして超えていくのか。
信じると決めた事、
この命と人生をかけると決めた事を信じていくのか。

私という存在を
個という枠に囚われず
それでいてこの現実世界と
どのように正面から
向き合い、生きていくのか

そして今ようやく、体感として
歌舞いがどれほど
修行の核であるのかを
学びつつあるように思えますが
これはまだ、言葉にできる段階にはありません。

言葉にすべき事と
しないべき事を見極める事もまた、
修行において大切な事です。
これがどこまでできているのかは、
常に自分に問いかけています。
(間違う事も多々あります)

バウルの道を歩む修行者として
どこまで行けるのか、
いつまで生きていられるのか
現時点ではサッパリ分かりませんが

毎日の全てを修行として
取り組んでいます。